平成25年度 問5

宅建過去問徹底攻略


抵当権に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

1 債権者が抵当権の実行として担保不動産の競売手続をする場合には、被担保債権の弁済期が到来している必要があるが、対象不動産に関して発生した賃料債権に対して物上代位をしようとする場合には、被担保債権の弁済期が到来している必要はない。

2 抵当権の対象不動産が借地上の建物であった場合、特段の事情がない限り、抵当権の効力は当該建物のみならず借地権についても及ぶ。

3 対象不動産について第三者が不法に占有している場合、抵当権は、抵当権設定者から抵当権者に対して占有を移転させるものではないので、事情にかかわらず抵当権者が当該占有者に対して妨害排除請求をすることはできない。

4 抵当権について登記がされた後は、抵当権の順位を変更することはできない。


 正解 2

1 × 抵当権の効力は、債務不履行があった後は、果実(賃料)に及ぶ。弁済期が来ていない以上、不履行はないから、賃料に物上代位できない。

2 ○ そのとおり。従たる権利(借地権)に及ぶ(判例)。

3 × 抵当権も物権であるから、それに基づく物権的請求権がある。しかし一方で抵当権は、抵当目的物の使用収益を設定者に認める非占有担保であるから、その行使は限定的である。本肢のような場合(第三者による不法占有)、交換価値が害され抵当権者が満足な優先弁済を受けられないなどの事情があるときは、抵当権に基づく妨害排除請求権を行使できる(判例)。つまり、抵当権者自身が不法占拠者に対して、出て行けと言える。

【関連】 抵当権設定者が、通常の用法を逸脱して毀損行為を行うような場合も、抵当権者は抵当権に基づく妨害排除請求ができる。

4 × 順位の変更はできる。(374)


【参考】
第374条 (抵当権の順位の変更) 抵当権の順位は、各抵当権者の合意によって変更することができる。ただし、利害関係を有する者があるときは、その承諾を得なければならない。
2  前項の規定による順位の変更は、その登記をしなければ、その効力を生じない。

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