平成25年度 問6

宅建過去問徹底攻略


A銀行のBに対する貸付債権1,500万円につき、CがBの委託を受けて全額について連帯保証をし、D及びEは物上保証人として自己の所有する不動産にそれぞれ抵当権を設定していた場合、次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

1 CがA銀行に対して債権全額について保証債務を履行した場合、Cは、D及びEの各不動産に対する抵当権を実行して1,500万円を回収することができる。

2 A銀行がDの不動産の抵当権を実行して債権全額を回収した場合、DはCに対して、1,000万円を限度として求償することができる。

3 第三者がDの所有する担保不動産を買い受けた後、CがA銀行に対して債権全額を弁済した場合、Cは代位の付記登記をしなければ、当該第三者に対してA銀行に代位することができない。

4 Eの担保不動産を買い受けた第三者がA銀行に対して債権全額を弁済した場合、当該第三者は、Cに対して、弁済した額の一部を求償することができる。


 正解 大人の都合でいちおう4

宅建のレベルでない難問・悪問、おまけに出題ミスで正解なしだが、昨年に続き没問だすわけにいかず、むりやり4。

1 × 下記条文の通り、保証人、物上保証人が複数いるときは、まず頭割り、物上保証人間では、残額を価格比で配分。本問では、まず3人で頭割りして、保証人Cが500万円、残り1,000万円を物上保証人のDとEが担保不動産の価格比でとなる。とりあえず保証人Cが、物上保証人のDとEに全部押し付けることができるとしたらおかしい、と思えればよい。

2 × 上記の通り、物上保証人Dが保証人Cから回収できるのは500万円。

3 × 「第三者がDの所有する担保不動産を買い受けた後」Cが弁済であるから、この場合、Cは付記登記などなくてもこの第三者に対してA銀行に代位できる。下記条文で、「あらかじめ」というのは、保証人が弁済をした後に生じた第三取得者に対する関係に限られる(判例)。 弁済によって担保権が消滅したと信じた第三者に不測の損害を与えないようにするための規定である。

となると、消去法で4が正解と考えるのが妥当なとこなのだが・・・

4 × 物上保証人から担保不動産を買い受けた第三者を、物上保証人と同視できるとする条文、判例はない。(通説的見解はこれを認めているが)


【参考】
第501条
前二条の規定により債権者に代位した者は、自己の権利に基づいて求償をすることができる範囲内において、債権の効力及び担保としてその債権者が有していた一切の権利を行使することができる。この場合においては、次の各号の定めるところに従わなければならない。
一 保証人は、あらかじめ先取特権、不動産質権又は抵当権の登記にその代位を付記しなければ、その先取特権、不動産質権又は抵当権の目的である不動産の第三取得者に対して債権者に代位することができない。
二 第三取得者は、保証人に対して債権者に代位しない。
三 第三取得者の一人は、各不動産の価格に応じて、他の第三取得者に対して債権者に代位する。
四 物上保証人の一人は、各財産の価格に応じて、他の物上保証人に対して債権者に代位する。
五 保証人と物上保証人との間においては、その数に応じて、債権者に代位する。ただし、物上保証人が数人あるときは、保証人の負担部分を除いた残額について、各財産の価格に応じて、債権者に代位する。
六 前号の場合において、その財産が不動産であるときは、第一号の規定を準用する。


前二条の規定:任意代位と法定代位のこと
第三取得者:ここでは債務者の担保不動産を譲り受けた第三者、物上保証人から譲り受けた者ではないので注意

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