分割債権及び分割債務
第四百二十七条 数人の債権者又は債務者がある場合において、別段の意思表示がないときは、各債権者又は各債務者は、それぞれ等しい割合で権利を有し、又は義務を負う。
解説
直接問われることはないと思うが、連帯債務の前提として。
民法は、多数当事者の債権・債務関係について、分割債権・分割債務を原則的形態としている。
「別段の意思表示がないとき」とは、たとえば、連帯債務にするという特約のないとき、と考えればよい。
【判例】連帯債務が成立するためには、明示もしくは黙示の意思表示が必要で、連帯の推定は認められない。
あなたが友人3人と中華料理を食べに行ったとする。盛大に飲み食いして、さあお勘定と言ったところ、4人様で4万円になりますと言われた。4人でレジに並んだ直後、あなたの友人3人は脱兎のごとく逃げていってしまった。
さて、残されたあなたは、みんなの分もあわせて、つまり4万円を払わなければならないだろうか?
ここで民法は分割債務を原則としているから、あなたは自分の分1万円だけ払って堂々と帰れるのである。食い逃げ犯である3人を捕まえて代金を取り立てるのはお店の仕事というわけ。
お店にしてみれば、残されたあなたから代金全額(つまり債権)を回収できたほうがいいに決まっている。そこでそれを可能にするのが次の連帯債務である。債権回収の強力な手段=担保の機能を持つものである。