空家対策が、今年(28年)の税法の目玉かも
管理されていない空家は、倒壊の危険や周囲の環境への悪影響があることが多く、社会問題となってきました。高齢の独居老人が亡くなり、残された古家を相続人が放置するケースがよくあるためです。
なぜ解体して更地にしないかというと、解体費用がかかるということもありますが、更地にしてしまうとご存知のとおり、固定資産税の住宅地の課税標準の特例が適用されなくなり、固定資産税額が跳ね上がる(ざっと4倍)ことになるからです。いってみれば固定資産税の特例が空家放置を促進することになってしまっていたわけです。
そこで今回の改正で、特定空家(管理されていない古家を市町村が指定する)に指定されると、その敷地には住宅地の課税標準の特例が適用されないようにしたわけです。
これは飴と鞭の鞭ですが、ちゃんと飴(しょぼいけど)も用意されています。
上にあわせ今回、所得税法の改正で、このような古家と敷地を相続した人がそれを譲渡した場合には、(自分の居住用であったわけではないのに)居住用財産を譲渡した場合の3,000万円特別控除が受けられるようになりました。
居住用3,000万円特別控除を受けるための要件として、
・昭和56年5月31日以前に建築された建物(区分所有建物を除く)
・相続開始直前(01年改正で、「要介護認定を受けて老人ホーム等へ入所したとき、その入所直前」が加えられた)において被相続人以外に居住していた者がない
・相続開始日後3年を経過する日の属する年の12月31日までの譲渡
・譲渡金額の合計が1億円以下
・相続から譲渡までの間に、利用(居住用等)されていないこと
など。改正ポイントだけでもいいですが、できれば要件もこの程度は押さえておくと安心です。
地方税は固定資産税と不動産取得税が交互に出題されていて今年は不動産取得税の番なのですが、そろそろ一拍はずしてきそうな気がすること。国税は従来ウェイトの高かった所得税がしばらく出題されておらず、今年の本命であること。改正ポイントはそもそも出題可能性が高い上に、空家対策は旬のネタなので、出題者が、「宅建試験問題を利用して、空家対策法の啓蒙・普及に貢献してやろう」なんてことを思いつきそうな気がしたことから、ワンポイントにあげてみました。