相隣関係
相隣関係の規定の位置づけは、民法の大原則である「所有権の絶対性」に対する、同じく民法上の制約ということ。以下に出題されそうなものをあげる。
隣地立入権
境界またはその近傍で、建物等の築造修繕をするために、必要な範囲内で隣地内に立ち入ることができる。ただし承諾がなければ住家には入れない。
囲にょう地通行権
他人の土地に囲まれて公路に通じない袋地、及び池沼・崖岸等によらなければ公路に出られない準袋地の所有者は、囲にょう地を通行できる。原則、もっとも損害の少ない方法をとらなければならないし、償金を支払う必要がある。
袋地が、土地の一部譲渡等によって生じた場合、他の一方の土地を通行できるだけで、囲にょう地を通行することはできない。この場合は償金の必要はない。
※H16改正で、囲にょう地は、「その土地を囲んでいる他の土地」との表現に改められたが、長ったらしいのでここでは従来どおりにしています。
竹木の枝・根の切除
枝が越境してきた場合は、その所有者に切除を請求できる(裏を返せば自分では切れない)、一方、根が越境してきた場合は切除できる(勝手に切ってよい)。
柿は勝手に採ってはダメ、タケノコは勝手に採ってもOK、と憶えておく。
境界線付近の建築
建物を築造する場合、境界線から50cm以上離さなければならない。
(なお、建築基準法で、防火・準防火地域の外壁が耐火構造の建物については境界線に接して建てることができる旨の規定があることに注意)
境界標設置権
隣地所有者と共同の費用で設置できる。
設置・保存の費用は等分で、一方、測量費用は面積比。
目隠し設置
境界線から1m未満の距離において他人の宅地を見通すことのできる窓・縁側(ベランダ含む)を設けるときは目隠しを付けなければならない。
排水権
土地の自然な高低による流水は妨げてはならない。