賃貸借が終了すると、転貸借はどうなるか
賃貸人Aと賃借人B、Aの承諾を得てBは転貸借契約をCと結んでいる。
ここでAB間の賃貸借契約がなんらかの理由で終了したとき、BC間の転貸借契約はどうなるのか。具体的には転借人Cは出て行かなければならないのかどうか。
AB間の賃貸借契約の終了原因によって、結果は異なるので表にしてみると、
賃貸借契約の終了原因 (AB間) | 転貸借契約 (BC間) 終了ならCは追い出される |
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期間満了・解約申入れ | AからCへの通知後6月経過で終了する |
賃借人(B)の債務不履行による解除 | 終了する なお※1 |
合意解除 | AB間の終了をCに対抗できない ※2 |
※1 『解除にあたり、賃貸人は転借人に賃料支払いの機会を与える必要はない。(判例)』
民法上、賃貸人Aは賃借人Bが賃料を払わないときには、転借人Cに請求できることになっている。するとCにしてみれば、Bの賃料不払いで自分が追い出されるくらいならBの分を立替払いしてでも追い出されたくないと考える場合もあるだろう。
そこで、Cは、Aは債務不履行解除をする前に自分Cに請求すべきだと訴えた。
しかし、判例は賃貸人は権利を持つのであって義務を負うわけではない、すなわちAはCに対して、請求「できる」のであって、「しなければならない」わけではないと否定したのである。
※2 AB間の賃貸借契約の終了をCに対抗できない。Cは出て行かなくてよい。ただしBは舞台から姿を消すことになるので、結局AC間の賃貸借契約に移行することになる。
合意解除でCが対抗できないとすると、Aは貸すときに直接自分が貸すのではなく、わら人形のBを介在させることによって、いつでもCを追い出せるという脱法行為が可能になるからである。