不動産の鑑定評価に関する次の記述のうち、不動産鑑定評価基準によれば、正しいものはどれか。
1 不動産鑑定評価基準にいう「特定価格」とは、市場性を有する不動産について法令等による社会的要請を背景とする鑑定評価目的の下で、正常価格の前提となる諸条件を満たさないことにより正常価格と同一の市場概念の下において形成されるであろう市場価値と乖離することとなる場合における不動産の経済価値を適正に表示する価格をいう。※
2 鑑定評価は、対象不動産の現況を所与の条件としなければならず、依頼目的に応じて想定上の条件を付すことはできない。
3 鑑定評価に当たって必要とされる取引事例は、当該事例に係る取引の事情が正常なものでなければならず、特殊な事情の事例を補正して用いることはできない。
4 収益還元法は、対象不動産が将来生み出すであろうと期待される純収益の現在価値の総和を求めることにより対象不動産の試算価格を求める手法であるため、自用の住宅地には適用することはできない。
※H27改正にあわせ改題※
正解 1
1 ○ そのとおり。特殊価格と混乱しないこと。
2 × 想定上の条件を付すこともできる。たとえば、隣接地を買収したとして一体としての価格を求めるとか。
3 × 特殊な事情の事例も、適正に補正できる場合には用いることができる。事情補正という。たとえば、親族間で恩恵的取引として市場価格よりも2割程度安く売買したなどという事情が分かっている場合。
【関連】用いることが許されないのは、投機的取引と認められる事例等適正さを欠くもの、である。
4 × 自用の住宅地といえども賃貸を想定することにより適用すべきもの、とされる。