不動産の鑑定評価に関する次の記述のうち、不動産鑑定評価基準によれば、誤っているものはどれか。
1 不動産の価格を形成する要因とは、不動産の効用及び相対的稀(き)少性並びに不動産に対する有効需要の三者に対する影響を与える要因をいう。不動産の鑑定評価を行うに当たっては、不動産の価格を形成する要因を明確に把握し、かつ、その推移及び動向並びに諸要因間の相互関係を十分に分析すること等が必要である。
2 不動産の鑑定評価における各手法の適用に当たって必要とされる事例は、鑑定評価の各手法に即応し、適切にして合理的な計画に基づき、豊富に秩序正しく収集、選択されるべきであり、例えば、投機的取引と認められる事例は用いることができない。
3 取引事例比較法においては、時点修正が可能である等の要件をすべて満たした取引事例について、近隣地域又は同一需給圏内の類似地域に存する不動産に係るもののうちから選択するものとするが、必要やむを得ない場合においては、近隣地域の周辺の地域に存する不動産に係るもののうちから選択することができる。
4 原価法における減価修正の方法としては、耐用年数に基づく方法と、観察減価法の二つの方法があるが、これらを併用することはできない。
正解 4
1 ○ そのとおり。
2 ○ そのとおり。投機的取引と認められる事例は採用できない。
【関連】 特殊な事情を含む事例であっても、適切に補正ができるものであれば採用できる。
3 ○ そのとおり。※
4 × 耐用年数に基づく方法と、観察減価法の二つの方法を必ず併用する。H27改正点。
※ たとえば、駅前商業地の鑑定評価をするとき、同じ駅前商業地(近隣地域内)の事例や、同じ沿線の同グレードの駅前商業地(同一需給圏内の類似地域内)の事例から選択するが、事例が得られない場合もあるので、そういうとき、駅前からちょっと裏に入ったところ(近隣地域の周辺の地域)にある不動産の事例を使うことができる。