宅地建物取引業者が、宅地建物取引業法第35条に規定する重要事項の説明を行う場合における次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定に違反するものはいくつあるか。
ア 宅地の貸借の媒介の場合、当該宅地が都市計画法の第一種低層住居専用地域内にあり、建築基準法第56条第1項第1号に基づく道路斜線制限があるときに、その概要を説明しなかった。
イ 建物の貸惜の媒介の場合、当該建物が新住宅市街地開発事業により造成された宅地上にあり、新住宅市街地開発法第32条第1項に基づく建物の使用及び収益を目的とする権利の設定又は移転について都道府県知事の承認を要する旨の制限があるときに、その概要を説明しなかった。
ウ 建物の貸借の媒介の場合、当該建物が都市計画法の準防火地域内にあり、建築基準法第62条第1項に基づく建物の構造に係る制限があるときに、その概要を説明しなかった。
1 一つ
2 二つ
3 三つ
4 なし
正解 2
重要事項か否かは、記憶していない場合には、自分が買主や借主になったと想定して、それが売買や貸借をするかどうかの決断に重要なことかどうか、考えてみる。
ア 宅地の貸借で、道路斜線制限は重要事項である。宅地を借りる人は、そこに建物を建てるであろうから。よって、説明しないのは違反である。
イ 「建物の使用及び収益を目的とする権利の設定又は移転について都道府県知事の承認を要する旨の制限がある」ということは、知事の承認が得られないときは、実質的に賃貸借契約ができない(建物賃貸借契約自体は有効であるが、建物の敷地である宅地について買戻権行使事由になる)ことになるから、これは重要事項である。よって、説明しないのは違反である。 ※
ウ 建物を借りる人にとって、建物の構造に係る制限は関係がないから、重要事項ではない。よって違反しない。
なお、「建築基準法第62条第1項に基づく建物の構造に係る制限」というのは、みいちゃんよいこで耐火建築 のこと。
以上より、違反するのはアとイの2つなので、正解は2
※ イの知識は初出。このレベルの知識は憶えようとするときりがないので、問題文を読んで、そこから、上記のように判断するしかないと思う。
なお、新住宅市街地開発法というのは、良好な住宅地を供給する、すなわちニュータウンを作るための法律で、これにより作られた造成宅地というのは、エンドユーザーである国民のためのもの。したがって、転売で儲けることや、上に建てた建物賃貸で収益物件にすることができなくしてある。知事の承認なしにやると、宅地が買戻しの対象となる