基本原則
第一条 私権は、公共の福祉に適合しなければならない。
2 権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない。
3 権利の濫用は、これを許さない。
解説
1条2項は信義誠実の原則とか信義則といわれる。取引関係に入った者は互いに相手の信頼や期待を裏切らないように誠実に行動することを求めるもの。
民法のいわば伝家の宝刀といったところで、法律行為(契約)の解釈基準となったり、取引関係に入った者相互の行為規範となったり、条文がないとか条文どおり当てはめると不都合な場合にでばってきたりする。
1条3項は権利の濫用を禁止している。
基本的には、権利があっても、自己に利益がないのに、他者に損害を与えるだけを目的にした権利行使は許されないという考え方。さらに進んで、行使したことによる自らの利益と他者の損害を比較衡量して権利の濫用に当たるかを判断することになる。