民法第147条

民法重要条文と判例 -宅建過去問徹底攻略

時効の中断事由


第百四十七条 時効は、次に掲げる事由によって中断する。

一 請求
二 差押え、仮差押え又は仮処分
三 承認

 解説 

時効が中断すると、一時停止するのではなく、振り出しに戻る。つまり、「はい、また20年がんばりましょう」とかになる。

請求には、a.裁判上の請求(訴えを提起するなど)と、b.裁判外の請求(払ってよと言うとか、請求書を送りつけるとか)、がある。そして、ここでb.裁判外の請求は催告(153)となり、弱い中断効しかない。

承認とは、権利の不存在(取得時効)や権利の存在(消滅時効)を権利者に対して表示すること。たとえば、取得時効の場合、私のものではないと認める。消滅時効の場合、借金があることを認める。

【判例】 一部弁済する、利息の一部を払う、弁済の猶予を頼むなどは承認にあたる。

未成年者が単独でした債務承認は、取消できる。

あと、おおざっぱに、裁判上の請求などは、却下とか取下げとか、なにかけちがついたら中断効がなくなるとだけ憶えておこう。 下にいちおう条文をあげておくが逐一憶えなくてもいい。

なお取得時効には、上記以外にも、占有の中止等が時効中断事由となる。
(占有の中止等による取得時効の中断)
第百六十四条 第百六十二条の規定による時効は、占有者が任意にその占有を中止し、又は他人によってその占有を奪われたときは、中断する。


H7問3

H21問3


【参考】

(裁判上の請求)
第百四十九条 裁判上の請求は、訴えの却下又は取下げの場合には、時効の中断の効力を生じない。

(支払督促)
第百五十条 支払督促は、債権者が民事訴訟法第三百九十二条に規定する期間内に仮執行の宣言の申立てをしないことによりその効力を失うときは、時効の中断の効力を生じない。

(和解及び調停の申立て)
第百五十一条 和解の申立て又は民事調停法 (昭和二十六年法律第二百二十二号)若しくは家事事件手続法 (平成二十三年法律第五十二号)による調停の申立ては、相手方が出頭せず、又は和解若しくは調停が調わないときは、一箇月以内に訴えを提起しなければ、時効の中断の効力を生じない。

(破産手続参加等)
第百五十二条 破産手続参加、再生手続参加又は更生手続参加は、債権者がその届出を取り下げ、又はその届出が却下されたときは、時効の中断の効力を生じない。

(差押え、仮差押え及び仮処分)
第百五十四条 差押え、仮差押え及び仮処分は、権利者の請求により又は法律の規定に従わないことにより取り消されたときは、時効の中断の効力を生じない。

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