Aは、Bに対し建物を賃貸し、月額10万円の賃料債権を有している。この賃料債権の消滅時効に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
1 Aが、Bに対する賃料債権につき支払督促の申立てをし、さらに期間内に適法に仮執行の宣言の申立てをしたときは、消滅時効は中断する。
2 Bが、Aとの建物賃貸借契約締結時に、賃料債権につき消滅時効の利益はあらかじめ放棄する旨約定したとしても、その約定に法的効力は認められない。
3 Aが、Bに対する賃料債権につき内容証明郵便により支払を請求したときは、その請求により消滅時効は中断する。
4 Bが、賃料債権の消滅時効が完成した後にその賃料債権を承認したときは、消滅時効の完成を知らなかったときでも、その完成した消滅時効の援用をすることは許されない。
正解 3
1 ○ そのとおり。やや細かい知識
【参照】147条の下のほう。
2 ○ 時効完成前の時効利益の放棄はできない
3 × 本肢は、催告にあたり弱い中断効(6月以内に裁判上の請求等をしないと中断しない)しかない。内容証明郵便うんぬんはまどわせ。
4 ○ 時効完成後に債務承認をすると、もはや時効の援用はできなくなる(判例)。
なおこの場合、時効完成についての善意悪意を問わない。債務承認は時効援用と相容れない行為であり、相手方は時効援用されないという期待をもつが、この期待は保護されるべきだからである。