先取特権
(先取特権の内容)
第三百三条 先取特権者は、この法律その他の法律の規定に従い、その債務者の財産について、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。
解説
一般的に言って、宅建のレベルではあまりここまで手をひろげられないところ。同じ担保物権である抵当権とにたりよったりなルールであると思って、抵当権で学んだことを応用して対応するというスタンスでいいと思う。
先取特権は留置権と同じく法定担保物権である。つまり設定契約などによらないで一定のシチュエーションのもとでいわば自動的に発生する。
担保物権の通有性(付従性、随伴性、不可分性、物上代位性)がある。
先取特権は、次の3つがある。- 一般先取特権(給料とか葬式費用とかの債権について)
- 動産先取特権(アパート賃貸の滞納家賃などについて、その部屋の中の動産に)
- 不動産先取特権(土地工事代金についてその土地に、とか、不動産売買代金についてその不動産に)
2について、
(不動産賃貸の先取特権)
第三百十二条 不動産の賃貸の先取特権は、その不動産の賃料その他の賃貸借関係から生じた賃借人の債務に関し、賃借人の動産について存在する。
【判例】 賃借人が持ちこんだ貴金属、宝石なども目的物となりうる。
第三百十四条 賃借権の譲渡又は転貸の場合には、賃貸人の先取特権は、譲受人又は転借人の動産にも及ぶ。譲渡人又は転貸人が受けるべき金銭についても、同様とする。
3について、
(登記をした不動産保存又は不動産工事の先取特権)
第三百三十九条 前二条の規定に従って登記をした先取特権は、抵当権に先立って行使することができる。
通常、物権同士の優先は、登記の先後によるが、なんと先に登記をした抵当権に後から登記した不動産先取特権は優先するのである。
「前二条の規定に従って登記をした先取特権」=不動産保存又は不動産工事の先取特権で登記したもの
H12問3