民法第478条、第480条

民法重要条文と判例 -宅建過去問徹底攻略

債権の準占有者・受取証書の持参人に対する弁済


(債権の準占有者に対する弁済)
第四百七十八条 債権の準占有者に対してした弁済は、その弁済をした者が善意であり、かつ、過失がなかったときに限り、その効力を有する。


(受取証書の持参人に対する弁済)
第四百八十条 受取証書の持参人は、弁済を受領する権限があるものとみなす。ただし、弁済をした者がその権限がないことを知っていたとき、又は過失によって知らなかったときは、この限りでない。

 解説 

これらは、通謀虚偽表示や表見代理と同じく、外観を信じた者を取引安全の見地から保護しようという外観法理のひとつ。

【判例】債権の準占有者とは、債権者ではないが取引通念上債権者らしい外観を持つ者である。

債権の準占有者の例としては、債権譲渡が無効のときの譲受人・債権者の代理人と偽って債権を行使する者・債権証書と印章の所持者など。(判例)

このような債権の準占有者に対してした弁済は、債務者が善意無過失のときは有効となる。つまり債権は消滅する。

なおこの場合、真の債権者は、もはや債務者に請求はできず、準占有者に対して不当利得の返還請求あるいは不法行為責任の追及をすることになる。

受取証書(いわゆる領収書のこと)の持参人に対する弁済も同じで、債務者が善意無過失の場合に有効となる。

【判例】受取証書は真正であることを要する。

【判例】受取証書が偽造の場合には478条の問題となる。


H11問5

H17問7

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