履行不能による解除権
第五百四十三条 履行の全部又は一部が不能となったときは、債権者は、契約の解除をすることができる。ただし、その債務の不履行が債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。
解説
履行不能の場合には、履行遅滞のそれとは違い、催告をしてワンチャンス与える意味はないから、直ちに解除できる旨規定している。
履行不能かどうかは、社会の取引通念で判断する。
【判例】売主が不動産を二重譲渡して、第三者が所有権移転登記を備えた場合には履行不能である。
【判例】土地賃貸人が、二重賃貸をして第三者が当該土地上に建物を建築し使用している場合、履行不能である。
【判例】売主が買戻し等で所有権を回復可能な場合で、第三者の登記が仮登記にすぎない場合は、履行不能とはいえない。