債務不履行に基づく損害賠償請求権に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
1 AがBと契約を締結する前に、信義則上の説明義務に違反して契約締結の判断に重要な影響を与える情報をBに提供しなかった場合、Bが契約を締結したことにより被った損害につき、Aは、不法行為による賠償責任を負うことはあっても、債務不履行による賠償責任を負うことはない。
2 AB間の利息付金銭消費貸借契約において、利率に関する定めがない場合、借主Bが債務不履行に陥ったことによりAがBに対して請求することができる遅延損害金は、年5分の利率により算出する。
3 AB間でB所有の甲不動産の売買契約を締結した後、Bが甲不動産をCに二重譲渡してCが登記を具備した場合、AはBに対して債務不履行に基づく損害賠償請求をすることができる。
4 AB間の金銭消費貸借契約において、借主Bは当該契約に基づく金銭の返済をCからBに支払われる売掛代金で予定していたが、その入金がなかった(Bの責めに帰すべき事由はない。)ため、返済期間が経過してしまった場合、Bは債務不履行に陥らず、Aに対して遅延損害金の支払義務を負わない。
正解 4
1 ○ この肢は、契約準備段階の過失として、債務不履行責任を負わせるべきというのが学説としては有力説といえる。しかし柱文に「民法の規定及び判例によれば」とあるので、本問では正しい。(判例にないから)
2 ○ そのとおり。なお、約定利率を定めてなかったときだけでなく、定めた約定利率が法定利率(年5%)よりも低い場合も、法定利率によることも憶えておこう。
3 ○ そのとおり。二重譲渡で登記も移転している場合は履行不能と評価される。
4 × 金銭債務の特則、不可抗力でも免責されない。すなわち、Bは債務不履行に陥り、Aに対して遅延損害金の支払義務を負う。
肢1は勉強した人をひっかけるためのいやらしい肢のように感じる。それでも、素直に読めば4を選べるか。