普通抵当権と元本確定前の根抵当権に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
1 普通抵当権でも、根抵当権でも、設定契約を締結するためには、被担保債権を特定することが必要である。
2 普通抵当権でも、根抵当権でも、現在は発生しておらず、将来発生する可能性がある債権を被担保債権とすることができる。
3 普通抵当権でも、根抵当権でも、被担保債権を譲り受けた者は、担保となっている普通抵当権又は根抵当権を被担保債権とともに取得する。
4 普通抵当権でも、根抵当権でも、遅延損害金については、最後の2年分を超えない利息の範囲内で担保される。
正解 2
1 × 根抵当権は、一定の範囲に属する不特定の債権を極度額まで担保するものである。
2 ○ 根抵当権は当然として、普通抵当権でも、銀行の住宅ローンの場合※など、成立の付従性を緩和する判例がある。
3 × 根抵当権には、元本確定までは個々の被担保債権について随伴性はない。
4 × 根抵当権は、極度額までを担保するものであって、「最後の2年分・・・」とかない。
【参考】※成立の付従性の緩和
銀行の住宅ローンも当然のことながら金銭消費貸借である。金銭消費貸借は要物契約であるから、お金を渡さないと成立しない。しかし銀行は、たとえ短い時間であれ無担保の状態ではお金は渡さない。そこで現実には、先に抵当権設定契約を行い、その登記が完了したことを確認してから、お金を渡す。つまり厳密に言えば、被担保債権が成立する前に抵当権を発生させていることになり、これは成立の付従性に反することになる。
しかし、これを認めないと現実問題としてややこしいことになってしまうので、判例では「将来発生することが確実な場合には」とこれを認めている。