Aが死亡し、それぞれ3分の1の相続分を持つAの子B、C及びD(他に相続人はいない。 )が、全員、単純承認し、これを共同相続した。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
1 相続財産である土地につき、遺産分割協議前に、Bが、CとDの同意なくB名義への所有権移転登記をし、これを第三者に譲渡し、所有権移転登記をしても、CとDは、自己の持分を登記なくして、その第三者に対抗できる。
2 相続財産である土地につき、B、C及びDが持分各3分の1の共有相続登記をした後、遺産分割協議によりBが単独所有権を取得した場合、その後にCが登記上の持分3分の1を第三者に譲渡し、所有権移転登記をしても、Bは、単独所有権を登記なくして、その第三者に対抗できる。
3 相続財産である預金返還請求権などの金銭債権は、遺産分割協議が成立するまでは、相続人3人の共有に属し、3人全員の同意がなければ、その債務者に弁済請求できない。
4 Bが相続開始時に金銭を相続財産として保管している場合、CとDは、遺産分割協議の成立前でも、自己の相続分に相当する金銭を支払うよう請求できる。
正解 1
1 ○ そのとおり。BはCとDの持分に関しては無権利者であり、したがってBから購入した第三者も無権利者ということになる。無権利者に対しては登記なくして所有権を対抗できる。
2 × この場合、Cの持分に関しては、Cを基点とするB及び第三者への二重譲渡の形となる。したがってBと第三者は対抗関係に立つ。
3 × 各相続人は、その相続分に応じて(つまり1/3なら)弁済請求できる(判例)。金銭債権は可分だから。
4 × 遺産分割までの間、自己の相続分を請求できない(判例)。