A、B及びCが、持分を各3分の1として甲土地を共有している場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
1 甲土地全体がDによって不法に占有されている場合、Aは単独でDに対して、甲土地の明渡しを請求できる。
2 甲土地全体がEによって不法に占有されている場合、Aは単独でEに対して、Eの不法占有によってA、B及びCに生じた損害全額の賠償を請求できる。
3 共有物たる甲土地の分割について共有者間に協議が調わず、裁判所に分割請求がなされた場合、裁判所は、特段の事情があれば、甲土地全体をAの所有とし、AからB及びCに対し持分の価格を賠償させる方法により分割することができる。
4 Aが死亡し、相続人の不存在が確定した場合、Aの持分は、民法958条の3の特別縁故者に対する財産分与の対象となるが、当該財産分与がなされない場合はB及びCに帰属する。
正解 2
1 ○ そのとおり、不法占拠者に対する妨害排除請求(明渡請求)は保存行為にあたり、各共有者は単独でできる。
2 × 「損害全額の賠償を請求できる」が誤り。自己の持分割合に応じてしか損害賠償請求はできない。(判例)
3 ○ そのとおり。例えば、ABCは共同相続人(兄弟)であり、Aが家業を引き継ぐことになっている場合とかである。
4 ○ そのとおり。本来、相続人等がいない場合の財産は国庫に帰属するものであるが、共有の場合は例外的に、他の共有者に(持分割合に応じて)帰属することになっている。国が共有者のひとりになるのはめんどくさいからである。