宅地建物取引業者Aが自ら売主として、宅地建物取引業者でないBとの間で土地付建物の売買契約を締結した場合、次の記述のうち、宅地建物取引業法 (以下この問いにおいて 「法」 という。) の規定によれば、誤っているものはどれか。
1 Bは、Aが設置したテント張りの案内所で買受けの申込みをし、翌日Aの事務所で契約を締結した場合には、それ以後は一切法第37条の2による当該契約の解除を行うことはできない。
2 当該契約において、当事者の債務の不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定めるときは、これらを合算した額が代金の額の10分の2を超える定めをしてはならない。
3 当該契約に 「当事者の一方が契約の履行に着手するまでは、Aは受領した手付を返還して、契約を解除することができる」 旨の特約を定めた場合、その特約は無効である。
4 Aは、当該建物が未完成であった場合でも、Bへの所有権移転の登記をすれば、Bから受け取った手付金等について、その金額を問わず法第41条に定める手付金等の保全措置を講じる必要はない。
正解 1
1 × クーリング・オフできる場所か否かは判断は最初の場所で決まる。「テント張りの案内所で買受けの申込み」とあるが、これはクーリング・オフできる場所。したがって「翌日Aの事務所で契約を締結した」としても、書面で告げられた日から起算して8日経過するまではクーリング・オフできる。
2 ○ そのとおり。 なお予定ではなく、実際の損害賠償額には2/10といった制限はないのでヒッカケには注意しよう。※
3 ○ 手付受領者は倍額を償還して解除、が民法の規定。それよりも買主に不利な特約なので無効。
4 ○ そのとおり、移転登記後は保全措置は不要。二重譲渡される心配がなくなるからである。
【関連】※ヒッカケ注意
当該契約においてAは、Bの債務不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償額は違約金と合算して、代金の額の10分の2を超えて請求できない。→誤り