宅地建物取引業者であるAが、自らが所有している甲土地を宅地建物取引業者でないBに売却した場合のAの責任に関する次の記述のうち、民法及び宅地建物取引業法の規定並びに判例によれば、誤っているものはどれか。
1 売買契約で、Aが一切の瑕疵担保責任を負わない旨を合意したとしても、Aは甲土地の引渡しの日から2年間は、瑕疵担保責任を負わなければならない。
2 甲土地に設定されている抵当権が実行されてBが所有権を失った場合、Bが甲土地に抵当権が設定されていることを知っていたとしても、BはAB間の売買契約を解除することができる。
3 Bが瑕疵担保責任を追及する場合には、瑕疵の存在を知った時から1年以内にAの瑕疵担保責任を追及する意思を裁判外で明確に告げていればよく、1年以内に訴訟を提起して瑕疵担保責任を追及するまでの必要はない。
4 売買契約で、Aは甲土地の引渡しの日から2年間だけ瑕疵担保責任を負う旨を合意したとしても、Aが知っていたのにBに告げなかった瑕疵については、瑕疵担保責任に基づく損害賠償請求権が時効で消滅するまで、Bは当該損害賠償を請求できる。
正解 1
1 × 宅建業法の自ら売主制限により、「一切の瑕疵担保責任を負わない」という特約は、業者でない買主に不利な特約として無効である。そして「引渡しの日から2年間」ではなく、瑕疵を知ったときから1年間、となる。
2 ○ そのとおり。抵当権が実行されて所有権を失った場合には解除できる。売主の担保責任。
3 ○ そのとおり、判例。『瑕疵担保責任の追及は、知った時から1年以内に裁判外で明確に告げていればよく、1年以内に訴訟を提起するまでの必要はない』と憶えておこう。
4 ○ 「Aが知っていたのにBに告げなかった瑕疵」については「引渡しの日から2年間」の特約は無効となり民法の規定に戻る。すると、知ったときから1年間ということになるが、永久に知ったときから1年となると売主の負担が大きすぎるので、判例は、「瑕疵担保責任に基づく損害賠償請求権が時効で消滅するまで」としている。
【関連】
瑕疵担保責任に基づく損害賠償請求権には消滅時効(債権なので10年)の適用があり、その時効の起算点は、引渡しのとき。(判例)