所有権及びそれ以外の財産権の取得時効に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
1 土地の賃借権は、物権ではなく、契約に基づく債権であるので、土地の継続的な用益という外形的かつ客観的事実が存在したとしても、時効によって取得することはできない。
2 自己の所有と信じて占有している土地の一部に、隣接する他人の土地の筆の一部が含まれていても、他の要件を満たせば、当該他人の土地の一部の所有権を時効によって取得することができる。
3 時効期間は、時効の基礎たる事実が開始された時を起算点としなければならず、時効援用者において起算点を選択し、時効完成の時期を早めたり遅らせたりすることはできない。
4 通行地役権は、継続的に行使され、かつ、外形上認識することができるものに限り、時効によって取得することができる。
正解 1
1 × 賃借権も時効取得できる(判例)。
2 ○ 一筆の一部(つまり、ある物の一部分ということになる)も時効取得できる(判例)。
3 ○ そのとおり(判例)。これが恣意的に選択できるとすれば、時効完成時点を自由にできることになり、第三譲受人との関係(時効完成前・後で異なる)などに影響することになるから。
4 ○ 民法の条文(183条)どおり。なお、「継続的に行使され、かつ、外形上認識することができるものに限り」と厳しい限定をつけているのは、好意で隣人の通行を黙認していたら突然、通行地役権(物権という強力な権利である)の時効取得を主張されたなどということが起きないようにである。