無権代理の相手方の催告権・取消権
(無権代理の相手方の催告権)
第百十四条 前条の場合において、相手方は、本人に対し、相当の期間を定めて、その期間内に追認をするかどうかを確答すべき旨の催告をすることができる。この場合において、本人がその期間内に確答をしないときは、追認を拒絶したものとみなす。
(無権代理の相手方の取消権)
第百十五条 代理権を有しない者がした契約は、本人が追認をしない間は、相手方が取り消すことができる。ただし、契約の時において代理権を有しないことを相手方が知っていたときは、この限りでない。
解説
114条の催告権については、相手方は悪意であっても使えるという点が重要。つまり、無権代理人と知っていながら、あえて契約をし、本人に追認するかどうか尋ねるのはOKなわけ。「ダメもと、あわよくば」と思うのは、別に悪いことではない。
催告に対して本人から返事(確答)がなかったら、追認拒絶で確定である。「返事がなかったら追認したことになる」といったふうに誤りの肢にしてくる可能性があるので注意。
まともな代理人だと思って契約したのに、ふたをあけてみたらそいつは代理人じゃなかった(無権代理人だった)といった場合、普通の人は「ああ無権代理人と知っていたら契約なんかしなかったのに。めんどくさいな。なかったことにしたいな。」と思うのがあたりまえであろう。そこで民法は、このような場合に取消権を認めている。
115条の取消権は、相手方が善意のときだけ使える。契約時点で善意でさえあれば、過失の有無は問わない。
また、取消権が行使できるのは、相手方が追認があったことを知るまでの間である。つまり、本人から自分に対して追認があったら取消できなくなるし、本人が無権代理人に対して追認をしている場合には、そのことを知ったら取消できなくなる。
昔はよくきかれるところだったが、最近はあまり出ていない。しかし油断は禁物。
H11問7