占有の承継
第百八十七条 占有者の承継人は、その選択に従い、自己の占有のみを主張し、又は自己の占有に前の占有者の占有を併せて主張することができる。
2 前の占有者の占有を併せて主張する場合には、その瑕疵をも承継する。
解説
時効完成までの期間に、占有の承継があった場合、承継人は自己の占有のみを主張してもよいし、前主の占有を併せて主張してもよい。ただし前主の占有を併せて主張する場合には、前主の悪意とか善意無過失をも承継することになる。
2つ例を挙げる。
1. 悪意の前主が10年占有した後、善意無過失の承継人が8年占有した場合
善意無過失でもまだ8年なので自分の占有だけでは足りない。そこで前主の占有10年を足したいところだが、足して18年になっても今度は悪意ということになるので、結局時効取得はできないことになる。
2. 善意無過失の前主が3年占有した後、悪意の承継人が8年占有した場合
前主の占有と併せると11年になるし、善意無過失も引き継ぐことになるので、時効取得できることになる。
H10問2