債務不履行による損害賠償
第四百十五条 債務者がその債務の本旨に従った履行をしないときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。債務者の責めに帰すべき事由によって履行をすることができなくなったときも、同様とする。
解説
債務不履行とは、債務者が債務の本旨に従った債務の履行をしないことをいう。
債務不履行には、履行不能・履行遅滞(412)・不完全履行の3つの態様がある。
履行不能とは、債権成立後に履行ができなくなった場合をいう。債権成立前からできない場合は、原始的不能として、契約が無効となる。
履行不能の要件- 履行ができなくなったこと
- 債務者の責めに帰すべき事由(帰責事由)によってできなくなったこと
- 履行不能が違法であること
【判例】不能か否かの判断は、社会の取引通念に従って判断され、物理的不能に限られない。たとえば、売主が不動産を第三者に譲渡(二重譲渡)して移転登記をした場合は、履行不能と判断される。
【判例】履行遅滞にあるときに不可抗力で履行ができなくなった場合も、信義則上、「責めに帰すべき事由」にあたる。(つまり履行不能となる。)
履行不能の効果は、損害賠償請求権と、契約の解除権の発生
たとえば地震や落雷などで目的物が滅失した場合には、帰責事由がないので債務不履行(履行不能)責任を負わない。この場合には危険負担の問題となる。
不完全履行とは、いちおう給付はなされたが、それが債務の本旨に従っていない不完全な場合をいう。これはなぜか宅建では問われないので、気にしなくてよい。