金銭債務の特則
第四百十九条 金銭の給付を目的とする債務の不履行については、その損害賠償の額は、法定利率によって定める。ただし、約定利率が法定利率を超えるときは、約定利率による。
2 前項の損害賠償については、債権者は、損害の証明をすることを要しない。
3 第一項の損害賠償については、債務者は、不可抗力をもって抗弁とすることができない。
解説
「ない袖はふれない」などという言葉があるが、民法は、「なければ借りてきてでも払え」としているわけである。金銭債務は常に履行遅滞となり、履行不能はありえない。
本来、債務不履行による損害賠償を求めるには、損害の発生と損害額を証明しなければならないのが原則であるが、2項はこれに対する特則である。一方で原則として損害額は法定利率により計算され、実際の損害額を証明してもそれは請求できないとされる。
また債務不履行には原則として、債務者に帰責事由が要求される(415)、すなわち不可抗力の場合には債務不履行責任を負わないのが原則であるが、3項は金銭債務については不可抗力をもって抗弁とすることができないとしている。つまりこれも特則。
お金ってものは厳しいものなんだ、と思っておこう。
【参考】
(法定利率)
第四百四条 利息を生ずべき債権について別段の意思表示がないときは、その利率は、年五分とする。
H14問7