民法第505条~第507条

民法重要条文と判例 -宅建過去問徹底攻略

相殺


(相殺の要件等)
第五百五条 二人が互いに同種の目的を有する債務を負担する場合において、双方の債務が弁済期にあるときは、各債務者は、その対当額について相殺によってその債務を免れることができる。ただし、債務の性質がこれを許さないときは、この限りでない。

2 前項の規定は、当事者が反対の意思を表示した場合には、適用しない。ただし、その意思表示は、善意の第三者に対抗することができない。


(相殺の方法及び効力)
第五百六条 相殺は、当事者の一方から相手方に対する意思表示によってする。この場合において、その意思表示には、条件又は期限を付することができない。

2 前項の意思表示は、双方の債務が互いに相殺に適するようになった時にさかのぼってその効力を生ずる。


(履行地の異なる債務の相殺)
第五百七条 相殺は、双方の債務の履行地が異なるときであっても、することができる。この場合において、相殺をする当事者は、相手方に対し、これによって生じた損害を賠償しなければならない。

 解説 

相殺する側の持つ債権を自働債権といい、相殺される側の債権を受働債権という。

505条、「双方の債務が弁済期にあるときは」とあるが、
【判例】自働債権の弁済が到来していれば、受働債権の弁済期が到来していなくても相殺できる。
相殺する側が期限の利益を放棄すればよいだけの話であるからである。

相殺の意思表示は、一方的意思表示である。「相殺します」と言った瞬間に効果が発生する。条件・期限はつけられない。

相殺には遡及効がある。相殺適状(相殺の要件を満たして、相殺ができる状態)のときに遡って効果が発生するので、その時以後の遅延利息や損害金は発生しない。「相殺の意思表示をしたときから」ではないのでヒッカケに注意。


H16問8

H17問4

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