AはBに対し甲建物を月20万円で賃貸し、Bは、Aの承諾を得た上で、甲建物の一部をCに対し月10万円で転貸している。この場合、民法及び借地借家法の規定並びに判例によれば、誤っているものはどれか。
1 転借人Cは、賃貸人Aに対しても、月10万円の範囲で、賃料支払義務を直接に負担する。
2 賃貸人Aは、AB間の賃貸者契約が期間の満了によって終了するときは、転借人Cに対しその旨の通知をしなければ、賃貸借契約の終了をCに対し対抗することができない。
3 AB間で賃貸借契約を合意解除しても、転借人Cに不信な行為があるなどの特段の事情がない限り、賃貸人Aは、転借人Cに対し明渡しを請求することはできない。
4 賃貸人AがAB間の賃貸借契約を賃料不払いを理由に解除する場合は、転借人Cに通知等をして賃料をBに代わって支払う機会を与えなければならない。
正解 4
1 ○ そのとおり。なお転貸料(C→B)と賃貸料(B→A)の低い方の額について転借人(C)は賃貸人(A)に対し直接に義務を負うことになる。また転借人は賃料の前払い(例えば、Cは既に前払いで1年分をBに支払済みであるとか)をもって対抗できない。
2 ○ そのとおり。なお、通知から6月経過後に転貸借契約は終了。
3 ○ そのとおり。転借人は賃貸人に対して自己の権利を対抗できる。もしも、これが対抗できない(Cが追い出される)とすると、賃貸人はわら人形の誰かを介在させ、転貸のかたちをとることで、自由に転貸人を追い出すことができることになってしまうから。
4 × このような機会を与えなければならない義務はない(判例)。たしかに肢1でふれたとおり、賃貸人は、賃借人が賃料を支払わない場合、転貸人に請求できるのであるが、それは権利であって義務ではない。