甲土地の所有者Aが、他人が所有している土地を通行することに関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
1 甲土地が他の土地に囲まれて公道に通じない場合、Aは、公道に出るために甲土地を囲んでいる他の土地を自由に選んで通行できるわけではない。
2 甲土地が共有物分割によって公道に通じなくなった場合、Aは、公道に出るために、通行のための償金を支払うことなく、他の分割者の土地を通行することができる。
3 甲土地が公道に通じているか否かにかかわらず、他人が所有している土地を通行するために当該土地の所有者と賃貸借契約を締結した場合、Aは当該土地を通行することができる。
4 甲土地の隣接地の所有者が自らが使用するために当該隣接地内に通路を開設し、Aもその通路を利用し続けると、甲土地が公道に通じていない場合には、Aは隣接地に関して時効によって通行地役権を取得することがある。
正解 4
1 ○ そのとおり。【参照】相隣関係
2 ○ 同上
3 ○ 「賃貸借契約を締結した」のだからあたりまえ。
4 × 地役権は、継続的に行使され、かつ、外形上認識できるものに限り時効取得できる。また、本肢のような場合、通路の開設は要役地となるべき土地の所有者(つまりA)によってなされなければならない(判例)。
隣人の立場で考えると、自分用に通路を設置、親切でAの通行を黙認していたら、Aに通行地役権を時効取得されてしまったとなると、たまったものではないということ。判例がAによる通路設置を要求するのも、そこで隣人が、「ちょっとまった、うちの土地になにしてんの?」と言えるようにするため。