30年度 主な改正点

宅建過去問徹底攻略


今年の主な改正ポイントは、都市計画法の「田園住居地域の新設」と宅建業法の改正点がいくつかですが、前者は広範囲に影響しますし、後者も非常に出題しやすい内容なので、しっかり押さえておいてください。
また近年の改正ポイントも出題可能性がとても高いので、あわせて27年度 主な改正点 や 28年度 主な改正点  29年度 主な改正点 も確認しておいてください。


権利関係

特になし


法令上の制限

都計法
1用途地域に、田園住居地域が新設された。
これにより用途地域は、1低・2低・田園・1中・2中・1住・2住・準住・近商・商・準工・工・工専の13種になった。

※田園住居地域の扱いは、以下に述べるが、ほぼ1低2低と同じと思っておけばよい。1低2低との違いは、許可制があることと、建基法の用途規制において、一定の農業用施設がプラスされることくらいである。
田園住居地域は、農業の利便の増進を図りつつ、これと調和した低層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため定める地域である。
2【田園住居地域:1低2低と同じ扱いの項目】
田園住居地域にも、都市計画に、建ぺい率・容積率・敷地面積の最低限度・外壁の後退距離の限度・高さの限度、が定められる。
田園住居地域にも、義務教育施設を定めなければならない。
田園住居地域にも、再開発等促進区を定めることができる。
3【田園住居地域:許可制】
田園住居地域内の農地の区域内において、次の行為を行おうとする者は、市町村長の許可を受けなければならない。
①土地の形質の変更、②建築物の建築、③工作物の建設、④土石その他の政令で定める物件の堆積
ただし、①通常の管理行為、軽易な行為、②非常災害のため必要な応急措置、③都市計画事業の施行として行う行為、については許可不要。
また、国又は地方公共団体が行う行為(あらかじめ市町村長に協議要)も許可不要。
4開発許可を受けた開発区域内の建築行為等の制限で、工事完了公告後は、原則、予定建築物等以外の建築は禁止であるが、例外として知事が許可したときと用途地域等がさだめられているときのふたつがある。
この知事の許可に関して、国又は都道府県等が行う行為については、当該国の機関又は都道府県等と知事との協議が成立することをもって、知事の許可があったものとみなされる。

要するにみなし許可制度が、従来、国だけだったところに、都道府県等も加えられることになった。
なお、都道府県等というのは、都道府県、指定都市等若しくは事務処理市町村若しくは都道府県、指定都市等若しくは事務処理市町村がその組織に加わつている一部事務組合、広域連合若しくは港務局のこと。

建基法
1【田園住居地域の用途規制】
① 1低2低とおなじもの
② 農産物の生産・集荷・処理又は貯蔵に供するもの
③ 農業の生産資材の貯蔵に供するもの
④ 農産物の販売を主な目的とする店舗(農産物直売所)その他の農業の利便を増進するために必要な店舗・飲食店等に供するもの(その用途に供する部分500㎡以内)
⑤ ④以外の店舗・飲食店等に供するもの(150㎡以内)
2【田園住居地域:1低2低と同じ扱いの項目】
建ぺい率・容積率の値の範囲
敷地面積の最低限度(マックス200㎡)
外壁の後退距離の限度(1.5m又は1m)
絶対高さの限度(10m又は12m)
斜線制限・日影規制(したがって隣地斜線は適用なし)

宅建業法

田園住居地域新設関連
1広告開始時期の制限や契約締結時期の制限における、「必要な許可・確認等」に、田園住居地域の許可制が含まれることになる。
2いうまでもなく、35条の重要事項、物件に関する事項のうち法令上の制限として記載する事項になる場合がある。

建物状況調査関連
1建物状況調査(インスペクション)とは、①建物の構造耐力上重要な部分又は雨水の浸入を防止する部分に関する調査で、②国土交通大臣が定める講習を修了した建築士が実施するものをいう。
234条の2書面(媒介契約書)の記載事項に、「建物状況調査を実施する者のあっせんに関する事項」が追加された。
要するに、あっせんするかしないかという、あっせんの有無を記載する。
なお、あっせん料は受領できない。

これは34条の2書面のはなしであり、当然、売買・交換の媒介の場合である。貸借の媒介の場合は含まないので念のため。
3既存建物の取引の場合、「建物状況調査(実施後1年を経過していないものに限る)を実施しているかどうか、及び実施している場合にはその結果の概要」が35条重要事項に追加された。

実施されている場合には、劣化事象等の有無を説明する。
実施の有無が明確でない場合には、売主等への照会等する。それでも判明しない場合はその照会で調査義務を果たしたことになる。
4既存建物の売買・交換の場合、「設計図書、点検記録その他の建物の建築及び維持保全の状況に関する書類で国土交通省令で定めるもの(下記※)の保存状況」が35条重要事項に追加された。

保存状況というのも、書類の有無のこと。
書類の内容は説明する必要はない。
有無が明確でない場合は、売主等への照会等する。それでも判明しない場合はその照会で調査義務を果たしたことになる。
 ※ 国土交通省令で定めるもの
・建築確認の申請書、確認済証等
・検査済証
・建物状況調査結果報告書
・建設住宅性能評価書
・建基法12条の規定による定期調査報告概要書等
・新耐震基準に適合していることを証する書類(昭和56年5月31日以前に着工の建物)
5既存建物の売買・交換の場合、「建物の構造耐力上主要な部分等の状況について、当事者双方が確認した事項」が37条書面の記載事項(絶対的記載事項)に追加された。

重要事項説明で、建物状況調査がありその結果の概要を説明しているときには、その結果概要を37条書面に記載し、確認ありと記載する。

IT重説
1宅地建物の貸借の媒介・代理の場合に限り、テレビ会議等のITを活用して重要事項説明をできるようになった。
売買・交換の場合にはできないので注意。
 要件
・双方向でやりとりできる環境(映像視認・音声聞取り)
・あらかじめ重要事項説明書等を送付
・重説できる状況であることを士が開始前に確認
・士証の提示を、受ける側が画面上で視認したことを確認

報酬規定
1従来、報酬以外に受領できるものとして、依頼者の依頼によって行う広告料金と、依頼者の特別な依頼により行う遠隔地における現地調査費用があったが、これらに加えて、「依頼者の特別な依頼により行う空家の特別な調査等に要する実費の費用に相当する額」も受領できることになった。
2【低廉な空家等の売買や交換の媒介等における報酬の特例】が新設された。
低廉な空家等の売買・交換の媒介等に際し、通常の売買の媒介等と比較して現地調査等の費用を要するものについては、売主(交換の依頼者)側からは、現行の報酬上限額に加えて、当該現地調査等に要する費用相当額を合計した金額(ただし最高18万円)を上限に受領できる、というもの。
買主側からは、従来の計算方法の額が上限額になるので注意。
 「低廉な空家等」とは、要するに取引価額が400万円以下の宅地又は建物のこと。
 以下、報酬の消費税は抜きにしていくつか例をあげる。

たとえば、300万円の土地の売却の媒介を依頼された場合、
300×4%+2=14万円に、現地調査費用相当額が5万円としたら、合計が19万円になるので最高の18万円が、売主からもらえる報酬の上限になる。
一方、買主からは、14万円が上限。
 同様の例で代理を依頼された場合には、
18万円と14万円の合計32万円が、代理の依頼者から受けることのできる報酬の上限となる。
18万円の倍ではないので注意。
 Aの300万円の土地と、Bの200万円の土地の交換の媒介を依頼された場合、それぞれ現地調査費用相当額が5万円とすれば、
Aからは、300×4%+2=14万円に、現地調査費用相当額が5万円で、合計が19万円になるので18万円、
Bからは、200×5%=10万円に、現地調査費用相当額が5万円で、合計の15万円(高い400万円で普通に計算した場合より大きいので)が受領できる報酬の限度額となる。

税・価格

【所得税】
買換え特例の、買換資産が非耐火既存住宅(※)である場合の要件に、「その取得の日以前25年以内に建築されたものであること又は地震に対する安全性に係る規定若しくはこれに準ずる基準に適合することのいずれかを満たすこと」が追加された。

※建築後使用されたことのある家屋で耐火建築物以外のもの


5問免除

【住宅金融支援機構法】
直接融資の対象に、「住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律第19条の規定による貸付け」が追加された。

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