民法第7条~第10条

民法重要条文と判例 -宅建過去問徹底攻略

成年被後見人


(後見開始の審判)
第七条 精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者については、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、未成年後見人、未成年後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人、補助監督人又は検察官の請求により、後見開始の審判をすることができる。

(成年被後見人及び成年後見人)
第八条 後見開始の審判を受けた者は、成年被後見人とし、これに成年後見人を付する。

(成年被後見人の法律行為)
第九条 成年被後見人の法律行為は、取り消すことができる。ただし、日用品の購入その他日常生活に関する行為については、この限りでない。

(後見開始の審判の取消し)
第十条 第七条に規定する原因が消滅したときは、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、後見人(未成年後見人及び成年後見人をいう。以下同じ。)、後見監督人(未成年後見監督人及び成年後見監督人をいう。以下同じ。)又は検察官の請求により、後見開始の審判を取り消さなければならない。

 解説 

精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く『常況』、常況がキーワード。

後見開始の審判を受けた者が、成年被後見人となる。「精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者」が自動的になるわけではない。

後見開始の審判、審判というのはいかにもいかめしく、なんだか裁かれているような感じであるが、ここでは、社会的弱者として保護すべき成年被後見人に認定することとイメージしておけばよい。

9条であるが、表現を変えれば、「成年被後見人は、たとえ成年後見人の同意があったとしても、単独では法律行為はできない」となる。つまり成年被後見人がなんらかの法律行為(契約)をしようと思ったら、保護者である成年後見人の代理によることになる(859)。

9条ただし書き、日用品購入等に限って有効な法律行為ができるとしているのは、この規定がなければ、成年被後見人のおじいちゃんがおなかをすかせてコンビニでお弁当を買おうと思っても売ってもらえなくなるから。これが取消せるとなると、空になった弁当を返すから、代金を返せといえることになり、誰もなにも売ってくれなくなる。

保護者である成年後見人の権能としては、追認権・取消権・代理権。特に同意権がないことに注意すること。成年被後見人はとてもたよりない人なので、同意をしてもそのとおりの行為ができないと考えられているわけ。例えば「テレビ買いたい」というので同意してもエアコンを買ってきてしまうから。


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