転貸の効果
第六百十三条 賃借人が適法に賃借物を転貸したときは、転借人は、賃貸人に対して直接に義務を負う。この場合においては、賃料の前払をもって賃貸人に対抗することができない。
2 前項の規定は、賃貸人が賃借人に対してその権利を行使することを妨げない。
解説
「直接に義務を負う」というのは、転借人は賃貸人に対して直接に、賃料支払義務・目的物返還義務・目的物保管義務などを負うということである。また転借人の過失により家屋を焼失させた場合には直接に賃貸人に対し損害賠償義務を負う。
転借人は、転貸人(賃借人)か賃貸人のいずれかに対して義務を履行すれば、他方への義務は免除される。ただし後段、賃料の前払をもって賃貸人に対抗できない。
「賃料の前払をもって賃貸人に対抗することができない」というのは、転貸人が賃貸人に賃料を払わない場合、賃貸人は転借人に直接賃料請求できるが、これに対し転借人が転貸人に賃料の前払いをしていたとしても、それをもってこの賃料請求を拒絶できないということ。
【参照】本条に関する判例については頻出項目であり、ワンポイントにまとめたので、賃貸借が終了すると、転貸借はどうなるかを見てください。